** 如月 **


雪が降っている。
音も無く、ただ白く降り積もっていく。
まるで、私の中で少しずつ存在が大きくなっていく「彼」のよう。


これが『恋』だと気づいたのは
いつだったっけ…。


出逢ってしばらくの間は
『恋』じゃなかったと断言できる。
だって、他に好きな人がいたんだもの。

でも、仕事で会えない日が続いて
まったく連絡がとれなくなって…。
実際、周りの状況がそれどころじゃなくなっていたし、
今となってはその人のことが本当に好きだったのか、分からないの。
だって、その人の顔が思い出せないんだもの。



『恋』なんてしている暇はなかった。
なのに―――。



確かに『彼』はかっこいい(と思う)。
密かに女の子に人気があるのも納得できる。

でも、でもっ!

私よりも年上なのに、すっごく子供っぽいのよ。
ちょっとしたことですぐ拗ねちゃうし、
負けず嫌いで、ゲームで負けるとムキになっちゃうし、
全然レディファーストじゃないし(周りが完璧すぎるのかしら?)、
気の利いたセリフひとつ聞いたことがないし、
折角女の子が誘ってきてるのに、全然気が付かないくらい鈍いし、
たまに寝癖がたってたりするし、
普段の服装なんて、ジャージかTシャツにジーパンだし、
笑った顔なんて、ほんっとに子供みたいなんだから。


ああ……そうだった……。


私、『彼』の笑顔に惹かれたんだったわ。


気がついたら『彼』を目で追うようになっていた。
『彼』」の行動、仕草、言葉のひとつひとつに、
一喜一憂している自分がいた。
他の女の子と話しているのを見て、ヤキモチさえ妬いてしまう。


『彼』との関係を壊したくなくて、
ずっと心の隅に追いやっていた、中途半端なままの気持ち。
ずっと気づかないふりをしていた、自分自身の恋心。
雪が降り積もっていくように、
だんだん、だんだん重くなって、耐えられなくなる前に。



この雪が止んだら『彼』のところに行ってみよう。
素直に『好き』と言えるかどうか、不安だけれど。




うーん、難しいっすね、文章ってヤツは。
一応、バレンタインということで、
ルイの心境なんかを活字にしてみたんですが。
最終的には、ラブラブを目指してます(笑)


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